仕事や家事をしながら、資格の勉強や副業、趣味にも取り組みたい。
やりたいことはあるのに、帰宅するとぐったりして、何もできない。
そんな日が続くと、「自分は意志が弱いのかな」と思ってしまうことがあります。
でも、もしかしたら原因は、意志ではなく配置にあるのかもしれません。
忙しい人に必要なのは、すべてをきれいに整理することではなく、 必要なものを、使う場所・時間・順番に置いてあげることだと、私は考えています。
この記事のポイント
- 整理は「不要なものを減らすこと」、配置は「必要なものを使う場所へ置くこと」
- 忙しさは、作業量だけでなく「探す・迷う・戻す」小さな手間からも生まれる
- 配置は、物だけでなく、情報・時間・順番にも使える
- 最初は、毎日使うものを一つ移動するだけでOK
はじめに:鍵が見つからない朝に気づくこと
出かける直前に、鍵が見つからなくて、家の中を探し回ったことはありませんか。
テーブルの上を探して、バッグの中を確認して、昨日着ていた服のポケットも見て。 それだけで、数分があっという間に過ぎてしまいます。
このとき必要なのは、家じゅうの物を整理することではありません。
玄関に、鍵の置き場所を決めることです。
鍵を整理したのではなく、次に使う場所へ配置したのです。
仕事や勉強も、同じことが言えます。
教材を買って、タスクを管理して、机を片付けても、必要なものが使う場所から遠いと、始めるまでに手間がかかってしまいます。
忙しい人に必要なのは、さらにがんばることではないのかもしれません。
歯ブラシを洗面台の近くに置くように、必要なものを、使う場所・時間・順番に置いてあげる。 それだけで、動き出しやすくなることがあります。
整理と配置は何が違うの?
「整理」と「配置」は、似ているようで、役割が少し違います。
整理は、不要なものを減らしたり、似たものを分類したりすること。 配置は、必要なものを、使いやすい場所や行動しやすいタイミングに置くことです。
| 整理 | 配置 |
|---|---|
| 不要なものを減らす | 必要なものを使う場所へ置く |
| 種類ごとに分類する | 使う頻度や順番で置く |
| 見た目を整える | 行動を始めやすくする |
| 情報をまとめる | 次に見る情報を手前に出す |
| 収納をきれいにする | 探す・迷う・戻すを減らす |
たとえば、食器を種類別にきれいに収納していても、毎朝使うマグカップが棚の一番奥にあると、取り出すたびに不便です。
反対に、よく使うマグカップを手前に置けば、細かく分類しなくても使いやすくなります。
大切なのは、収納がきれいに見えることだけではなく、 使う人の動きに合っていることです。
なぜ忙しい人は「配置」を変えるといいの?
忙しい人が疲れてしまうのは、作業量が多いからだけではないと思います。
毎日の中で、こんな小さな判断を、何度もくり返しているからです。
- どこに置いたか思い出す
- 何から始めるか決める
- どの道具を使うか選ぶ
- 必要な情報を探す
- 作業が終わったら、どこへ戻すか考える
ひとつずつは小さな負担でも、毎日続くと、じわじわ疲れにつながります。
テレビのリモコンが毎回違う場所にあると、テレビを見る前に探す時間が生まれます。 ソファの横に置き場所を決めておけば、「どこにあるかな」と考える必要がなくなります。
配置を変えるのは、物をきれいに並べたいからではありません。
探す・迷う・戻すという小さな負担を、減らしたいからです。
配置を変えると、行動を始めやすくなる
やりたいことが続かないとき、私たちは「意志が弱いのかも」「やる気が足りないのかも」と考えがちです。
でも実際は、行動を始めるまでの手間が多すぎるだけ、ということもあります。
散歩の例
朝に散歩をしたいと思っても、運動着を探して、靴下を出して、靴を探しているうちに、面倒になってしまうことがあります。
前日の夜に、運動着と靴を玄関に置いておけば、朝は着替えて外に出るだけ。
散歩への意欲を高めたのではなく、始めるまでの手順を減らしたのです。
ゴミ出しの例
ゴミ出しを忘れない人は、特別に記憶力がいいとは限りません。
- 前日の夜に、ゴミ袋を玄関に置く
- ゴミ箱を、ゴミが出る場所の近くに置く
- 曜日の通知を設定する
こんなふうに、忘れにくい配置をつくっている場合もあります。
資格の勉強や副業も、同じように考えられます。
- 教材を机の上に置く
- 学習アプリをスマホの1ページ目に置く
- 記事の下書きを開いた状態にしておく
- 最初にやる作業を、1つだけ決めておく
始めるまでの距離が短くなると、行動を起こしやすくなります。
配置するのは「物」だけではない
配置を変える対象は、部屋の中にある物だけではありません。 忙しい人は、次の4つを置き直してみると、動きやすくなります。
1.物を配置する
物は、使う場所の近くに置きます。
料理なら、包丁やまな板は作業台の近く、調味料はコンロの近くへ。 冷蔵庫から食材を出して、洗って、切って、加熱して、盛り付ける。この流れに合わせて道具を置くと、移動が減ります。
洗濯も同じです。 洗濯機、物干し場、衣類の収納場所が離れていると、「洗う・干す・たたむ・しまう」のたびに移動が必要になります。 作業の流れに合わせて、場所を近づけると、負担が軽くなることがあります。
2.情報を配置する
情報は、必要なときにすぐ見つかる場所に置きます。
たとえば、よく連絡する相手を、毎回電話帳から探しているなら、お気に入りに登録しておく。
仕事のファイルも、細かく分類しすぎるより、まずは「状態」で分けたほうが分かりやすい場合があります。
- 作業中
- 確認待ち
- 返信待ち
- 処理済み
- 保管
「契約書」「請求書」「社内資料」と分けるだけだと、次に何をすればいいのかが分かりにくいことがあります。
「いま、自分は何をするのか」で配置すると、作業を始めやすくなります。
3.時間を配置する
時間も、空いたところに入れるのではなく、あらかじめ用途を決めておきます。
たとえば、記事づくりを次のように分けてみます。
- 通勤中:思いついたことをメモする
- 昼休み:見出しを1つ作る
- 帰宅後:本文を200字書く
- 休日:全体を修正する
- 投稿前:誤字やリンクを確認する
「記事を書く時間」をまとめて確保できなくても、作業を小さく分ければ、短い時間に置いていけます。
4.順番を配置する
作業の順番を固定するのも、配置のひとつです。
朝の支度なら、
- 起きる
- カーテンを開ける
- 顔を洗う
- 着替える
- 朝食を食べる
- バッグを持って出る
という流れを決めておきます。
毎朝「次は何をするんだっけ?」と考えなくて済むので、動きが止まりにくくなります。
仕事と勉強を両立するための配置
仕事をしながら資格の勉強や副業を続けるとなると、まとまった時間をつくるのは簡単ではありません。
そこで、行動を生活の中に配置してみます。
資格学習の配置
配置前
- 教材は本棚の奥
- ノートと筆記具が別の場所
- 学習アプリはスマホのフォルダの中
- 帰宅してから、勉強する内容を決める
- 机を片付けてから始める
配置後
- 今週使う教材を、机の横に置く
- ノートと筆記具を、同じ場所に置く
- 学習アプリを、ホーム画面に置く
- 前日に、翌日の問題を決めておく
- 机を完全に片付けなくても、始められる場所をつくる
これだけでも、勉強を始めるまでの手順が減ります。
車やバイクで移動するときは、安全が最優先です。運転中に画面を操作するのではなく、出発前に音声教材を再生しておくなど、無理のない方法を選びましょう。
副業・SNS発信の配置
副業やSNS発信では、「何を投稿しよう?」と毎回考えること自体が、負担になりがちです。
そこで、ネタを置いておく場所を決めます。
- 仕事で気づいたこと
- 実際に試したこと
- 失敗したこと
- 誰かに聞かれたこと
スマホのメモアプリをホーム画面に置いて、思いついたときにすぐ記録できるようにしておきます。
たとえば、販売や業務管理の仕事をしているなら、こんなテーマを保存しておけます。
- お客様からよく聞かれる質問
- 通信プランを比べるときの確認項目
- 勤怠管理で手間に感じた作業
- 仕事で使える簡単な効率化
- 忙しい日に、実際に助かった方法
ポイントは、記事を完成させる場所ではなく、記事の材料を置く場所をつくることです。
整理しても続かないのはなぜ?
整理をしても、行動が続かないことがあります。
その理由のひとつは、整理したあとの配置が、実際の動きに合っていないからかもしれません。
収納の例
収納用品を買って、細かく分類して、ラベルも貼って。 最初はきれいでも、取り出すのにふたを開けたり、遠い場所まで運んだりする必要があると、だんだん元に戻さなくなってしまいます。
収納では、次の点を確認してみましょう。
- 片手で戻せるか
- 使う場所から遠くないか
- 家族も置き場所を分かっているか
- 一時的に置く場所があるか
戻す場所が遠いなら、戻せない自分を責める前に、場所を近づけてみてください。
ゴミ箱の例
ゴミ箱が部屋の隅にあると、ゴミを捨てるために、何歩も移動しなければなりません。
その結果、机の上や床に、ゴミを一時的に置いてしまうことがあります。
この場合は、「すぐ捨てるように意識する」よりも、小さなゴミ箱をゴミが出る場所の近くに置くほうが、続けやすくなります。
片付けられない原因は、性格ではなく、戻す場所の遠さにあることもあります。
配置を決める5つの基準
1.どこで使うか
爪切りは、部屋の奥よりも、身だしなみを整える場所の近くにあるほうが便利です。
まずは「何を持っているか」ではなく、「どこで使うか」から考えてみます。
2.どのくらい使うか
毎日使うマグカップは手前、月に一度しか使わない大皿は奥に置きます。
使う頻度が高いものほど、手の届きやすい位置に置きましょう。
3.いつ使うか
朝使う鍵や財布は、夜のうちに玄関へ。
朝の自分が探さなくて済むように、前日の自分が準備しておきます。
4.次に何をするか
飲み終わったペットボトルを、机の上に置いたままにすると、片付けが後回しになります。
次の行動が「捨てる」なら、ゴミ箱の近くへ。 次の行動が「返信する」なら、確認待ちの場所へ。
物の置き場所は、次の行動から決めると分かりやすくなります。
5.誰が使うか
家族や職場の人も使う物は、自分だけが分かる場所に置かないようにします。
ラベルを貼る、見える場所に置く、戻す場所を固定する。 誰でも分かる配置にすると、探し物や確認の回数が減らせます。
使う場所の近くに定位置をつくると、取り出すときだけでなく、使ったあとに戻す手間も軽くなります。
今日からできる配置の変え方
いきなり部屋全体や仕事のやり方を変える必要はありません。
ステップ1:毎日探しているものを、一つ選ぶ
- 鍵
- イヤホン
- 充電器
- 印鑑
- ボールペン
- 通勤バッグ
- 資格の教材
そして、最後に置いた場所ではなく、次に使う場所の近くへ移動します。
ステップ2:未処理のものを、一か所に集める
- 未返信のメール
- 確認待ちの書類
- まだ読んでいないメモ
- 投稿前のSNSネタ
- あとで調べたい情報
最初から、完璧に分類しなくて大丈夫です。 「まだ終わっていないものが、どこにあるか分かる状態」をつくるだけで、探す負担は軽くなります。
ステップ3:翌日の最初の作業を準備する
- 作業ファイルを開いておく
- 教材を机の上に出しておく
- ノートを開いておく
- 前回の続きに付箋を貼る
- 最初にやることを、一つだけ書いておく
翌日に「何から始めよう?」と考えなくて済むようにしておくのが目的です。
まとめ:変えるのは、意志ではなく「距離」
鍵を玄関に置く。 歯ブラシを洗面台の近くに置く。 ゴミ箱を、ゴミが出る場所へ移動する。 朝着る服を、前日の夜に準備する。
私たちは、普段から、配置によって行動を楽にしています。
仕事や勉強も同じです。
整理は、不要なものを減らすために役立ちます。 配置は、必要な行動を始めやすくするために役立ちます。
- 帰宅後に勉強できないなら、勉強時間を増やす前に、教材を移動してみる
- ブログが続かないなら、記事を書く時間を探す前に、ネタの置き場所を決めてみる
- 片付けが続かないなら、自分を責める前に、戻す場所を近づけてみる
忙しい人が変えるのは、性格や根性ではなく、
必要なものが、必要な場所・時間・順番にあるかどうか
なのかもしれません。
まずは今日、毎日使うものを一つだけ、次に使う場所の近くへ移動してみませんか。