レストランでメニューを開いたまま、5分以上たってしまった。
コンビニの飲み物売り場で、ずっと立ち止まってしまった。
そんな経験はありませんか?
この記事では、優柔不断で決められない原因と、今日からできる直し方のコツを、できるだけわかりやすく解説します。
この記事のまとめ(先に知りたい人へ)
- 決められないのは、性格がダメなのではなく、「考える力」や「やさしさ」の裏返しでもあります。
- 迷う原因は大きく3つ。「失敗がこわい」「選択肢が多すぎる」「頭が疲れている」です。
- 直し方のコツは、「5秒ルール」「コイン投げ」「最悪のケースを書く」など、7つ紹介します。
- 決めたあとは、「選んだ道を正解に育てる」と考えると、後悔が少なくなります。
1. はじめに:決められない自分を、責めなくていい
1-1. こんなことで迷っていませんか?
- レストランのメニューが決まらない
- 服や持ち物を買うとき、何度もお店を行ったり来たりする
- 休みの日の予定が決められない
- 進路や仕事のような大きなことは、さらに決められない
「どっちにしよう……」
「もし失敗したらどうしよう……」
そうやってぐるぐる考えているうちに時間がたち、「どうして自分はサッと決められないんだろう」と落ち込んでしまう人は、実はとても多いです。
1-2. 優柔不断は「ダメな性格」ではありません
優柔不断とは、ひとことで言うと「あれこれ迷って、なかなか決められないこと」です。
たしかに、困ることもあります。でも、決められない人は、次のようなことを考えているのではないでしょうか。
- 「これを選んだら、あの人が困るかな?」
- 「あとで損をしないかな?」
- 「みんなが気持ちよく過ごせる方法はどれかな?」
つまり、相手の気持ちや先のことを、よく考えられる人でもあるのです。迷ってしまうのは、ていねいに考える力があるからこそ。これは、あなたの良いところでもあります。
1-3. この記事でわかること
とはいえ、いつも迷ってばかりだと疲れてしまいますよね。時間ももったいないです。
この記事では、迷ってしまう理由を知り、今日からできる決め方のコツを紹介します。むずかしい話は、身近なたとえ話でやさしく説明するので、安心して読んでくださいね。
2. 優柔不断になってしまう3つの原因
直すためには、まず「どうして迷うのか」を知ることが大切です。主な原因は、次の3つです。
【決められない3つの原因】
① 失敗がこわい(損をしたくない)
② 選べるものが多すぎる
③ 頭が疲れている
2-1. 原因①:失敗がこわい(損をしたくない)
人には、「得をしたい」という気持ちより、「損をしたくない」という気持ちのほうが強く働く性質があります。研究では、損のつらさは、同じ大きさの得のうれしさの約2倍に感じられる、と言われています。
たとえば、ゲームのボス戦の前には「負けたくないから、先にセーブしておこう」と思いますよね。やり直せる安心があるからです。
でも、現実には、人生のセーブボタンはありません。
- 「ハンバーグを選んで、食べきれなかったらどうしよう」
- 「この服を買って似合わなかったら、お金がもったいないな…」
そう思うと、失敗がとても大きなものに見えて、足が止まってしまうのです。
2-2. 原因②:選べるものが多すぎる
「選べるものは多いほうが幸せ」と思いがちですが、じつは逆になることもあります。
アメリカの大学が行った、ジャムの試食の実験が有名です。
【ジャムの実験】 お店に試食用のジャムを並べて、売れ方を比べました。
- 24種類並べたとき → 買った人は約 3%
- 6種類並べたとき → 買った人は約 30%
種類が多いと、見るだけなら楽しいのですが、「どれがいちばんいいの?」と比べるのが大変になり、結局選ばなくなってしまうのです。
※この実験は「選択肢が多すぎると選びにくくなる」ことを示す例としてよく紹介されますが、いつでも同じ結果になるとは限らない、という意見もあります。「多いと迷いやすいこともある」くらいに覚えておくとよいでしょう。
あなたが決められないのは、意志が弱いからではなく、目の前の選択肢が多すぎるせいかもしれません。
2-3. 原因③:頭が疲れている
何かを選ぶとき、私たちの頭はたくさん働きます。
朝は何時に起きるか、何を着るか、メールにどう返事をするか、お昼は何を食べるか。1日の中で、私たちは数えきれないほどの小さな決めごとをしています。
そのため、夕方や夜になると「もう考えたくない……」という状態になりやすいです。夜にいろいろ悩んで決められなくなるのは、あなたがダメだからではなく、ただ疲れているだけかもしれません。
大事なことは、元気な時間に決めるのがおすすめです。
3. 知っておきたい「決めることの3つの思い込み」
決め方のコツに入る前に、多くの人が信じている3つの思い込みを見ておきましょう。知るだけで、心がふっと軽くなります。
3-1. 思い込み①:「正解の選択肢」がどこかにある
決められない人は、「どこかに完ぺきな正解があって、それを見つけなきゃ」と思っていることが多いです。
でも、選ぶ前に「正解」がわかることは、ほとんどありません。
たとえば、右の道と左の道があるとします。
- 右の道:きれいなお花畑があったけれど、雨が降ってきた
- 左の道:すてきなカフェがあったけれど、混んでいて並んだ
どちらが正解だったかは、だれにもわかりませんよね。
大切なのは、選んだあとにどう過ごすかです。「ラーメンを選んだから、思いきり味わおう」と思えたら、それが正解になっていきます。正解を探すより、選んだものを正解に育てるほうが、ずっと気がラクです。
3-2. 思い込み②:長く考えるほど、良い答えが出る
「よく考えなさい」と言われて育つと、時間をかけるほど良い答えが出ると思いがちです。
もちろん、大きな決断では、しっかり考える時間も必要です。でも、ちょっとした日常の選びごとなら、長く悩んでも、最初に「いいな」と思ったものに落ち着くことがよくあります。
長く悩んでいるとき、私たちは「良い答え」を探しているというより、**「決めるのがこわくて、立ち止まっている」**ことも多いのです。
3-3. 思い込み③:決断が早い人は、迷わない人
仕事ができる人や、かっこよく見える人は、生まれつき迷わないのでしょうか?
そんなことはありません。そういう人も、迷うときは迷います。
違うのは、迷わないための「自分ルール」や「仕組み」を持っていることです。気持ちが揺れても、ルールがあればサッと決められます。この記事の後半で、そのルールの作り方も紹介します。
4. 【準備編】決めやすい頭の状態をつくる方法
コツを使う前に、まずは決めやすい状態をととのえましょう。部屋が散らかっていると探し物が見つからないのと同じで、頭の中もすっきりさせておくと動きやすくなります。
4-1. どうでもいい決めごとを減らす
スティーブ・ジョブズさんは、いつも同じようなデザインの黒い服を着ていたことで有名です。「服選びで迷う時間を減らしたかったから」と言われています。
私たちもまねできます。小さな決めごとを「固定」してみましょう。
- 朝ごはんは「パンと目玉焼き」と決めておく
- 着る服の組み合わせを、曜日ごとに決めておく
- よく使うペンやノートを、1種類にしておく
どうでもいいことを自動で決まるようにしておくと、本当に大事なときに、元気な頭で考えられます。
4-2. 「まあいいか」を口ぐせにする
優柔不断な人は、まじめで、100点を目指しがちです。「いちばん安くて、おいしくて、雰囲気もよくて、体にもいいお店」を探すと、いつまでも決まりません。
そんなときは、「80点なら大成功」と決めてしまいましょう。
- ちょっと失敗したけど、お腹はいっぱいになったから「まあいいか」
- 思っていた色と少し違うけど、着心地がいいから「まあいいか」
「まあいいか」は、投げやりな言葉ではありません。完ぺきを求めすぎる自分を、ふっとラクにしてくれる合言葉です。
4-3. 「失敗」の意味を書き換える
決めるのがこわい人は、「失敗=ダメなこと」と思っています。でも、こう考えてみてはどうでしょう。
× これまでの考え方:失敗 = 損をした、ダメだった
○ これからの考え方:失敗 =「この方法は合わなかった」とわかった、貴重な情報
発明家のエジソンは、「失敗したのではなく、うまくいかない方法を見つけただけだ」という意味の言葉を残したと言われています。
「この服はサイズが小さめだった」
「このお店の味つけは甘すぎた」
それは、次に選ぶときに役立つ、あなただけの情報です。
経験値がたまった、と考えましょう。
5. 【実践編】決断力をつける7つのコツ
ここからは、今日から使える7つのコツを紹介します。むずかしいものはありません。レベル1から順番に試してみてくださいね。
【7つのコツ 一覧】
● レベル1:日常の小さな迷いに
① 5秒ルール
② コイン投げで本音を知る
③ メニュー3秒決めトレーニング
● レベル2:じっくり考えたいときに
④ 最悪のケースをノートに書く
⑤ 「友達が迷っていたら?」と考える
⑥ 自分ルールを作っておく
● レベル3:人生の大きな分かれ道に
⑦ 10年後の自分に聞いてみる
【レベル1】日常の小さな迷いに
コツ①:5秒ルール(5・4・3・2・1・GO!)
アメリカのメル・ロビンスさんが広めた方法です。
何かを決めようとしてから時間がたつと、「まだ早いかも」「やめておこうかな」という言い訳が出てきやすくなります。だから、言い訳が出る前に動いてしまうのです。

【やり方】 心の中で「5・4・3・2・1……GO!」と数えます。 「GO!」と言ったら、考えずに選ぶ!
メニューを選ぶとき、買い物かごに入れるとき、勉強を始めるときなど、いろいろな場面で使えます。「迷うスキを与えない」シンプルな方法です。
コツ②:コイン投げで「本音」を知る
AとBで迷ったら、コインを用意します。「表ならA、裏ならB」と決めて、投げてみましょう。

ポイントは、コインが回っている間や、結果が出た瞬間の自分の気持ちです。
- 「表(A)が出てほしい!」と思った → 本当はAがいい
- 裏(B)が出て、ちょっとガッカリした → 本当はAがいい
コイン投げは、運に決めてもらうためではありません。自分の本音に気づくための道具です。ガッカリしたなら、コインの結果は無視して、心が望んだほうを選んでOKです。
コツ③:メニューは3秒で決めて、二度と見ない
決める力は、くり返すほど慣れていくものです。おすすめは、次のトレーニングです。

- メニューを開く
- 目に入った「おいしそう」を、3秒以内に指さす
- すぐにメニューを閉じて、二度と開かない
「あっちが安かったかも」と見直すのは禁止です。「これが今日の正解!」と楽しむ練習をくり返すと、「決める」ことへのこわさが、だんだん小さくなっていきます。
【レベル2】じっくり考えたいときに
コツ④:最悪のケースをノートに書く
大きな買い物や大切な決めごとで迷うのは、「もし失敗したら大変なことになるかも」という、ぼんやりした不安があるからです。頭の中だけで考えると、不安は風船のようにふくらみます。
そんなときは、ノートに書き出してみましょう。
【ノートに書く3つの質問】
- もし失敗したら、最悪どうなる?(例:買った服が似合わず、1万円損をする)
- そうなったら、どうやって立て直せる?(例:フリマアプリで売る、部屋着にする)
- それは、取り返しがつかないこと?(例:落ち込むけど、取り返せる)
文字にして目で見ると、「思ったより、なんとかなりそう」と感じやすくなります。ぼんやりした不安は、正体がわかると小さくなることが多いのです。
コツ⑤:「友達が迷っていたら?」と考える
自分のことになると、気持ちが邪魔をして決めにくくなります。そんなときは、**「大切な友達が、同じことで迷っていたら、なんて言ってあげる?」**と考えてみましょう。
友達に「この靴、ちょっと派手かな?」と聞かれたら、きっと「似合ってるよ!買っちゃいなよ」「手持ちの服に合わせにくいなら、やめておこうか」と、サクッと答えられるはずです。
人のことになると、冷静に考えられます。自分の中に「親友のあなた」を呼んで、アドバイスしてもらいましょう。
コツ⑥:自分ルールを作っておく
あらかじめ「迷ったらこうする」というルールを決めておくと、日常の迷いはぐっと減ります。たとえば、次のようなルールです。
- 値段で迷ったら → 安いほうにする
- どちらも同じくらいなら → 最初にワクワクしたほうにする
- 食べたことのないメニューがあったら → そちらに挑戦する
- 気が進まない誘いは → 「迷ったら断る」と決めておく
ルールは、あなたに合うものでかまいません。「迷ったらこっち」という看板を心に立てておくと、道に迷いにくくなります。
【レベル3】人生の大きな分かれ道に
コツ⑦:10年後の自分に聞いてみる
進学や就職、転職、引っ越し、人間関係など、大きな決断のときは、目の前の損得やこわさだけで選ぶと、あとで後悔することがあります。
そんなときは、10年後の自分になったつもりで考えてみましょう。
「10年後の私から見て、AとB、どちらを選んだ自分のほうが、納得できそう?」
- Aを選んで、安定しているけれど、少し物足りなかった自分
- Bを選んで、大変だったけれど、挑戦して成長した自分
大きな決断のときほど、「どっちが得か」だけでなく、**「どっちなら納得できるか」**を基準にしてみてください。後悔が少なくなるヒントになります。
6. 決めたあとに後悔しない考え方
上手に決められるようになっても、「あっちにしておけばよかったかも……」と思う瞬間は、だれにでもあります。そんなときの心のお薬を3つ渡しますね。
6-1. 「選ばなかった道」はきれいに見えるだけ
うまくいかないことがあると、人は選ばなかった道を、実際よりすてきに思い浮かべがちです。
「別の会社なら、もっとお給料が高かったかも」 「あの料理にしておけば、もっとおいしかったかも」
でも、選ばなかった道にも、その道ならではの大変なことが、きっとありました。「隣の芝生は青く見える」と言いますよね。今いる道に目を向けるほうが、ずっと前に進めます。
6-2. 選んだ道を「正解」に育てる
第3章でお話ししたとおり、最初から決まっている正解はありません。選んだあとの行動で、正解にしていけばいいのです。
たとえば、買った服が思ったより派手だったとします。
- 後悔する考え方:「失敗した……買い直したい……」
- 正解に育てる考え方:「この服に合う帽子を探してみよう」「髪型を変えてみよう」
工夫して楽しむと、「派手な服のおかげで、新しいおしゃれに出会えた」という、ステキなお話に変わります。
6-3. いつでも方向転換していい
決めるのがこわい人は、「一度決めたら、もう戻れない」と思っていることがあります。でも、たいていのことは、やり直しがききます。
- 習い事が合わなかったら、別のことを始めればいい
- 買った本がおもしろくなければ、途中でやめてもいい
決断は、消せないペンキではなく、貼り直せるマスキングテープのようなものです。「違ったら、また選び直せばいいや」と思えると、気持ちがすっと軽くなります。
7. よくある質問(Q&A)
Q1. 優柔不断は生まれつきの性格ですか?直せますか?
性格の傾向はありますが、「決め方のコツ」や「ルール作り」で、迷う時間を減らすことはできます。全部を変えようとせず、できそうなコツをひとつだけ試してみてください。
Q2. 大事なことでも、5秒ルールで決めていいですか?
おすすめしません。5秒ルールは、ごはんや服選びなどの小さな選びごとに向いています。進路や仕事のような大きなことは、コツ④〜⑦で、じっくり考えましょう。
Q3. すぐ決められるようになるまで、どのくらいかかりますか?
人によって違います。まずは1日1回、小さなことで「3秒で決める」練習から始めてみてください。続けるうちに、少しずつ慣れていきます。
Q4. 決めたあとに、いつも不安になります。
不安になるのは、真剣に選んだ証拠でもあります。「選んだものを正解に育てよう」と考えたり、ノートに気持ちを書き出したりしてみてください。不安が強くて日常生活がつらいときは、家族や信頼できる人、専門の相談窓口に話してみるのも大切です。
8. おわりに:決めることは「自分を好きになる練習」
ここまで読んでくれて、ありがとうございます。
今日までたくさん迷ってきたのは、自分の人生や、まわりの人を大切にしようと、一生けんめい考えてきたからだと思います。まずは、そんな自分をほめてあげてください。
人に言われるまま選んだ道は、うまくいっても喜びが半分になり、失敗すると人のせいにしたくなります。でも、自分で選んだ道なら、うまくいけば誇らしいし、うまくいかなくても「自分で決めたんだ」と納得できます。
最後に、今日からできる小さな一歩を3つ置いておきますね。
- 今夜のごはんを、5秒ルールで決めてみる
- 明日着る服を、直感でパッと選んでみる
- 使っていない物をひとつ、「残す・手放す」で決めてみる
どんなに小さなことでもだいじょうぶ。自分で「これにする!」と決めた経験が、あなたの決める力を、少しずつ育てていきます。
失敗しても、やり直せます。ゆっくりで大丈夫。あなたのペースで、小さな一歩を踏み出してみてくださいね。
最後まで読んでいただき、ありがとうございました。