仕事でのミスを、帰宅してからも思い出してしまう。明日のことが気になって、布団に入っても考え続けてしまう。
そんなときは、時間もお金もかけずにできる、「少し楽になる行動を一つ選ぶ」ことから始めてみませんか。
この記事では、「すぐにできること」「仕事中にできること」「夜にできること」に分けて、12のセルフケアをご紹介します。
全部を実践する必要はありません。セルフケアを「今日のノルマ」にしてしまうと、かえって疲れてしまいますよね。今の自分に合いそうなものを、一つだけ選んでみてください。
すぐできるセルフケア
1. 無理のないペースで、ゆっくり呼吸する
不安や緊張を感じたら、楽な姿勢で座って、鼻からやさしく吸い、口からゆっくり吐いてみましょう。
深く吸おうと頑張ったり、息を長く吐き切ろうとしたりしなくて大丈夫です。自分が苦しくならないペースを優先してくださいね。
英国の公的医療サービス・NHSでは、おなかのほうまで息を入れるイメージで、ただし力まずに、穏やかなリズムで呼吸する方法が紹介されています。数を数えるのは「やりやすければ」でOKで、吸う・吐くを1から5まで数える方法が例として挙げられています(5まで届かなくても大丈夫とのことです)。
NHSでは5分ほどの練習が紹介されていますが、つらいときは1〜2分から始めても大丈夫です。息苦しさやめまいを感じたら、いったんやめて、自然な呼吸に戻しましょう。
2. 肩とあごの力を抜く
作業に集中していると、いつの間にか肩をすくめていたり、歯を食いしばっていたりすることがあります。
まずは、肩や口元に力が入っていないか、そっと確かめてみましょう。
- 無理のない範囲で、肩をぎゅっとすぼめて10秒ほど保つ
- ストンと力を抜いて、肩を下ろす(20秒ほど)
- 肩がゆるんだ感じを、少し味わう
- 食いしばっていたら、あごの力もゆるめる
筋肉をいったん緊張させてから力を抜き、ゆるんだ感覚をはっきり感じ取る方法は、「筋リラクゼーション」として紹介されています。痛みのある部分は、無理に動かさないでくださいね。
3. 水分をとって、ひと息つく
作業が続いていたら、のどが渇いていないか、しばらく飲み物を口にしていないかを確認してみましょう。
水や白湯など、飲みやすいものを少しだけ飲んで、いったん手を止めてみます。
水分をとれば不安が消える、ということではありません。「自分の体の状態に目を向ける時間」として取り入れるイメージです。
4. 目の前の感覚に注意を戻す
同じ失敗や心配事を何度も考え続けてしまうことを、「反すう」といいます。
考えが頭の中でぐるぐるしているときは、目の前のものや体の感覚に、そっと注意を向けてみましょう。
たとえば、次の順番で確認する方法があります。
- 見えるものを5つ
- 触れて感じられるものを4つ
- 聞こえる音を3つ
- 匂いを2つ
- 味を1つ
これは「5・4・3・2・1法」と呼ばれる、今この瞬間の感覚に注意を戻す方法の一つです。不安やストレスがつらいときに、気持ちを少しそらす助けになるとされています。
全部が見つからなくても大丈夫です。「足の裏が床についている」「手にカップのあたたかさを感じる」など、気づけるところから試してみてください。
5. 「起きたこと」と「心配」を分けて書く
不安を整理したいときは、紙やメモアプリに書き出してみましょう。NHSでも、心配事を書き出して、「対処できる問題」と「自分ではどうにもできない心配」を分ける方法が紹介されています。
書き方に迷ったら、次の3行を使ってみてください。
起きたこと: 心配していること: 今できる一歩:
たとえば、仕事のミスなら、こんな形です。
起きたこと:資料に誤りがあり、必要な報告は済ませた。 心配していること:信用を失ったかもしれない。 今できる一歩:修正版を確認し、決められた期限までに提出する。
「資料に誤りがあったこと」と「信用を失ったかもしれないという心配」を、いったん別々のところに置いてみます。
参考:NHS「心配事への対処」

仕事中にできるセルフケア
6. 90秒を目安に、小さな休憩をとる
作業の区切りで、短い休憩をはさんでみましょう。たとえば、90秒ほど画面から目を離して、次の中からできそうなことを選びます。
- 立ち上がる、または座り直す
- 肩をゆっくり動かす
- 窓の外など、少し遠くを見る
- ゆっくり息を吐く
90秒は、取り入れやすくするための目安です。この時間で十分に回復できる、という意味ではありません。
短い休憩をきっかけに、疲れが強いと感じたら、もう少し休めないかも考えてみてくださいね。
7. ミスへの対応と、振り返りの区切りを決める
失敗したあとの振り返りが、いつの間にか自分を責める時間になっていることがあります。
そんなときは、今日の対応を具体的にしてみましょう。
- 必要な報告や相談をする
- 修正する、または修正の段取りを決める
- 再発防止策を一つ考える
- 残った対応と期限をメモする
緊急の対応や、職場で必要な手順を済ませたら、今日の振り返りに区切りをつけます。
「今日できる対応はした。残りは、決めた時間に進める」
区切ったあとに、また思い出すことがあっても大丈夫です。そのたびに最初から反省し直さず、メモした次の行動を確認するだけにしてみましょう。
8. 自分にかける言葉を、一度だけ変える
自分を責める言葉が浮かんだら、ほんの少しだけ言い換えてみます。
- 「自分はダメ」→「今回はうまくいかなかった」
- 「また失敗する」→「次に確認することを一つ決めよう」
- 「休むなんて怠けている」→「今は休息が必要かもしれない」
無理に前向きになる必要はありません。
自分全体を否定する言葉から、今回の出来事や次の行動を表す言葉へ。 まずは、そのくらいの言い換えから試してみてください。

夜にできるセルフケア
9. 明日やることを、3つ以内で書く
明日の予定が気になってしまうなら、寝床に入る前にメモしておきましょう。
NHSでも、寝床で心配しがちな人に向けて、寝る前に翌日やることを書き出す方法が紹介されています。書き出すことで、頭の中が整理されやすくなるそうです。
この記事では、書きすぎないための目安として「3つ以内」をおすすめします。
- 優先してやること
- できればやること
- 余裕があればやること
三つの欄を全部埋めなくても大丈夫。一つだけでも、十分なメモになります。
10. 心配事を考える時間を、あらかじめ決める
夜に浮かんだ心配を、その場ですべて解決しようとすると、考える時間がどんどん長くなってしまいます。
急ぎの対応が必要なことでなければ、いったんメモに残して、考える時間を別に決めておく方法があります。
「この件は、明日の18時に10分だけ考える」
NHSでは、これを「心配する時間(ワリータイム)」と呼び、毎日10〜15分ほど、心配事を書き出して解決策を考える時間を設ける方法を紹介しています。NHSでは「寝る前」に設ける例が挙げられていて、続けるうちに、寝るときに頭が忙しくなりにくくなるとされています。
寝る直前だとそのまま考え込んでしまいそう、という人は、少し早めの時間(夕方など)に設けてみるのもひとつの工夫です。自分に合うタイミングを探してみてくださいね。
その時間には、「自分にできる対応はあるか」「あるなら、いつ何をするか」を確認します。答えが出ないことまで、無理に解決しようとしなくて大丈夫です。
参考:NHS「心配事への対処」
11. 寝る前の刺激を、一つ減らす
寝る前の習慣を全部変えるのは大変です。まずは、次の中から一つだけ選んでみてください。
- 気持ちがざわつくニュースを見るのを切り上げる
- スマートフォンをベッドから離す
- 夕方以降のカフェインを控える
- 部屋の照明を少し暗くする
- 仕事のメールを確認する時間に区切りをつける
NHSでは、規則的な睡眠習慣、就寝前のリラックス、遅い時間のカフェインを避けることなどが紹介されています。お茶やコーヒーは、寝る6時間前くらいから控えるのがおすすめとのことです。また、就寝前の1時間ほどは、スマートフォンやパソコンを使わないようにすると眠りやすくなるとされています。
自分の生活の中で、変えやすいところから試してみましょう。
参考:NHS「睡眠の問題」
12. 眠れない自分を責めない
「早く寝なきゃ」「明日に響いてしまう」と、眠ろうと頑張ってしまう夜もありますよね。
そんなときは、
「今すぐ眠ろうと、頑張りすぎなくていい」
と、いったん力を抜いてみましょう。

NHSでは、20分ほど経っても眠れないときは、いったん起きて、楽に座れる場所で過ごす方法が紹介されています。軽いヨガや読書、静かな音楽など、リラックスできることをして、眠くなってから寝床に戻ります。
迷ったら、今日はこの中から一つだけ
何から始めるか迷ったら、今の状態に近いものを選んでみてください。
- 作業を続けて疲れているなら:画面から目を離して、短い休憩をとる
- 失敗や不安が頭から離れないなら:「起きたこと・心配・次の一歩」を書く
- 明日のことが気になるなら:やることを一つだけメモする
セルフケアは、一度で気分をすっかり変えるためのものではありません。
「これなら少し楽だった」と思えるものがあれば、また使う。合わなければ、別のものに変える。そのくらいの余白を残しておきましょう。
セルフケアだけで抱え込まなくていい
眠れない、不安が強い、気分が落ち込む、食欲が変わった、といった状態が続くときや、仕事・日常生活に支障が出ているときは、医療機関や相談窓口に相談してみてください。
厚生労働省「こころの耳」でも、眠れない状態が一時的でなく長く続き、日中の活動に支障が出ているときは、早めに医師へ相談することが大切だと案内されています。生活に支障が出ているなら、「もっと長く続くまで」と待たなくても大丈夫です。
こころの耳には、相談機関・相談窓口の案内もあります。電話・SNS・メールで相談できる窓口は、無料で利用できます。
セルフケアをしても楽にならないことを、努力不足と考えなくて大丈夫です。一人で対処する以外の方法も、選んでいいんですよ。